前回に続く、おうちSTEAM2021終了後の座談会レポートの後編です。
2021年1月からはじまり、約3ヶ月間おこなった「おうちSTEAMプログラム」。
私たちはこれまで「子どもにどうなってほしいか」よりも「親としてどうありたいか」「親として家庭内教育をどうしていくか」を考えてきました。
そんな、わたしたちの後日談。
(→おうちSTEAMプログラム2021最終日レポートはこちら。)
判断軸・環境・価値観を深掘りして考え、見つめ直し、シェアし合う中でそれぞれの家庭と子どもに合った暮らしと「学び方」をつくってきました。最終発表会をおえて「振り返りとディスカッションをしたい」という声から座談会を開催しました。
座談会前半ではメンバーによるおうちSTEAMのシェアと振り返りを行いました。
今回は座談会後半の模様をレポートします。
|おうちSTEAM 4つのキーポイント
後半のパートでは、プログラム最終日に出た「おうちSTEAM 4つのキーポイント」をおさらいして、メンバーがそれぞれ気になるトピックについて自由にディスカッションしていきました。
[おさらい💡] 4つのキーポイント
① 親が自分に対してエンパシーを持っていると感じるためには
② 自主性の正体、知識の正体
③ セルフエフィカシーのために必要なこと
④ 環境を整えるとは
特に4つ目の「環境を整えるとは」については正解があるわけではなく家庭によって違います。
それぞれ子どもにとって環境をどのように整えていくかを考えるのが大事で、実は整えすぎてもダメだし、全く整えないのもどうか、ということでホットトピックとして進みました。
|子どもがエンパシーを発揮するには?
子どもが「自分の中には何かがあって、親がそれを信じてくれる」ことが、他者への共感や自己肯定感につながるという話が印象的だったというメンバーの声から、エンパシーについてディスカッション。
メンバーから出た意見をご紹介します。
大人だからエンパシーがあるとか、子どもだからエンパシーがないということではなく、むしろ条件付けをしていない子どものほうが無条件で想像できると思うんです。子どもがエンパシーを発揮している瞬間を知るには、子どもをよく観察していくことが大事で、自分自身もエンパシーを感じるということも、目の前の現象をよく見ることがエンパシーを見つけるポイントなんじゃないかな。
エンパシーについて知った書籍として「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(新潮文庫)」をあげたメンバーも。
誰かの立場にたつこと、シンパシーとの違いなど、それぞれの視点で意見を交わしました。
(出典:新潮社「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」)
私たちは「子どもの共感力を育てたい」などと思いがちですが、私たち自身の共感力はどのように表に出ているのだろうか?という問いに発展していきました。
一つ思ったのは、子どもの話を聞いてあげたいなと思いました。もちろん、そうしてるつもりなんですが、「うんうん」と、聞いてるか聞いてないかよく分からない態度になっちゃってないかな、と感じるときがあります。そんな部分もエンパシーだと思うんですよね。パパとママがちゃんと話を聞いてくれてる、ちゃんと顔を見てくれていると感じることが大事だったりするのかなと思います。
親子関係だったり、何気ない声かけの事例で「ほめる」より「感謝」を伝えるようにしているメンバーも。私たちの一言一言が目に見えない「〇〇力」といわれるものを形成する土台になるのだなと再認識。
そこからディスカッションは、さらに「環境」について広がりました。
|子どもの環境を整えるとはどのようなこと?
そもそも「環境」というのは色んな意味が含まれます。物理的な環境、例えば子供部屋であったり、工作道具。また、もっと広い意味での教育環境や、親との関係性なども含まれます。
その辺りをどう捉えて、どのように設計しているのか。メンバー同士で意見交換しました。
まず、「環境を整えすぎることが必ずしもいいとは限らない」というのがとても衝撃でした。
例えば、廃材ボックスをつくっておく、届きやすいところに道具を置いておく、ヒントを与えるということは良いことだと思っていましたし、これは正解・不正解がないということだったので、私は私自身のやり方でやっていこうと思いましたし、考え続けるのは大事だなと思いました。
私も、廃材ボックスや粘土などを手に届くところに置くというのは、すごく取り入れたのは良い変化だったなと思っています。子どもが自主的にごっこ遊びを始めたりアートを楽しむ場面が増えました。
ただ、子どもに聞くということは大事にしたいと思います。例えば子供部屋にしても「どういう部屋にしたい?」「このおもちゃはどこに置いてほしい?」など、子どもの意見を取り入れながらの部屋作りもやっていきたいですね。
私は、幼少期からなんとなく兄のあとを追って人生の進路を決めてきました。社会人になって転職をしたときに初めて自分で決めた、一歩踏み出したという実感があったんですね。幼いときから責任を負う経験や自分で決める回数を重ねることが大事だと思っています。先ほどの話にもつながりますが、子どもに聞いて決めさせることを意識してます。もちろん、やりたいことをやらせる環境も必要ですが、やりたいことをやるために、どんなことを忍耐を持って続けるのか、克服すべきことなど考えて決めていけるように伴走したいですね。
ご家庭によってできること、やりたいことが違うなかで「私はどうしたい?」「子どもはどうしたい?」と聞きながら作り上げていくというのが子育てなのかもしれません。続いて、ディスカッションテーマは「環境」から「自己効力感」へと発展しました。抽象的な概念を知っておわりではなく、日常生活でどのようなことを取り入れている?そんな会話が繰り広げられました。
声かけの他には「子どもは親の姿をみて育つな」と感じていて、私や夫が何かを失敗して乗り越える姿を見せたいと思っています。それはマネごととかでもいいと思うんです。例えば、料理や仕事での失敗談、子どもと遊んでいるときなど、小さなことでも何かやろうとして「あ〜失敗した〜!」と言ってたり、そのあと「じゃあこうしてみよう!」と奮闘を楽しんでる姿をこれからたくさん見せていきたいです。
|わたしたちがSTEAMを子育てに取り入れる理由
最後に、プログラムに参加したときの想いや、STEAMを子育てに取り入れたいと感じたきっかけ、今の気持ちなど、それぞれの考えをシェアし合い、クロージングとなりました。
座談会を通じて繰り返し発信されていたのは「親としてどうあるか?」という問いと、わたしたち一人一人が持つ答え。
「〇〇力」という言葉が溢れ、これからの時代に必要なスキルが変わっていく現代での子育てを、どのように捉えどのように設計していくのか。専門家の力を借りながらも、それぞれが自分らしい親としてのあり方を手繰り寄せるきっかけの種が、このプログラムや座談会を通じて、撒かれたのではないでしょうか。
>前半:おうちSTEAMの後日談。プログラム振り返りと体験シェア
>日常に溶け込むSTEAMを発見した3ヶ月『おうちSTEAM 2021』 最終日レポート