これまで「おうちSTEAMプログラム」に参加したことのあるメンバー同士が出会い、対話し、行動していくための場所として、新たにコミュニティがOPENしました。
2023年2月10日、プログラム参加メンバー&コミュニティ所属メンバーが集う合同座談会を開催。
今回、マレーシア在住の文筆家 野本響子さんをゲストにお迎えし、マレーシアの教育のあり方・STEM学習・ホームスクール..等、「教育を選ぶ時代の歩き方」を考える時間に。「私たち保護者はどう動く?」をテーマに語り合いました。
🌈 [本日のゲスト] 文筆家 野本響子氏
著書:「子どもが教育を選ぶ時代へ」「東南アジア式『まあいっか』で楽に生きる本」
noteでは、マレーシアの教育はもちろん、野本さんの大学院での学びについて更新されています。
|多様なマレーシアの教育
「マレーシアの教育」と一言でいっても、本当に様々な学校があるそうです。
・21世紀型
・折衷型
・従来型
・自学者(ホームスクール)
・その他(モンテッソーリ・イエナプラン等)
このような多様な教育に辿りつくまでの歴史や、野本さん自身のマレーシアでの経験について詳しくお話いただきました。
●このようなことをお話頂きました。
💡 世界の教育改革の歴史について
💡 日本の教育はどう変化している?
💡 4C教育とは?
💡 学校教育が創造性を殺す?!
💡 子どもが自分で「教育を選ぶ」ということ
今回お話頂いた内容について、詳しく知りたい方はぜひ野本さんの著書、Voicyをご覧ください。
野本さんにマレーシアの教育についてお話頂き、ここから深くディスカッションしていくための座談会に入ります。
メンバーからは野本さんへの質問や、自身の状況のシェア等、それぞれが思考を深め整理していく時間となりました。
|従来型教育と進歩型教育、どちらが子どもに合うだろう?
ー 野本さんのお子さんが自走型と気づかれたのは、お子さんが何歳のときにどのようなきっかけでしたか?
野本:3才〜4才くらいですかね。お子さんが小さいときはたくさん質問してきませんか?まさに私の子どもは質問が止まらない子だったのですが「質問が止まらない」ということは「学びたい」ということですよね。
子どもが質問したときに一緒に調べてみたり、分かりそうな人がいるところに行くというのをやりました。「ビックバンって何?」と聞いてきたときは科学博物館に連れて行ったんです。そこでボランティアの先生に一日中質問しているのを見て「自分で学ぶのが好きなのかな?」と思いました。
ー 忙しいと子どものそういった部分を見落としがちになってしまって、質問が好きな子だったとしても、そのまま小学校で従来型教育を受け「与えられるがまま受け身で育つのでは?」という不安が保護者にもあるかもしれません。みなさんはどうでしょうか?
野本:従来型教育が合う子もいて、合う子はそのままでも大丈夫だと思います。ただ、うちの子のように従来型教育に合わないと、そのまま学校にいても不適応になっちゃいます。
ミチコ:うちは「学校の宿題をしっかりやらなきゃ」「ルールを覚えなきゃ」というのでいっぱいになるようで、他のことをやる余裕がなくなっているみたいですね。なのでもう少しゆとりのある、違う学校の方がいいのかなと思います。
ユミ:長女は帰ってきて本当は公園に遊びに行きたいんだけれども、なかなか宿題が終わらない日々で、半年ほどぐずぐずしていました。公園で友達と待ち合わせをしたという日は自分で宿題を早く終わらせていたので、仕組みを工夫したら従来型教育をうまく使えるようになるのかなと少しだけ思います。
サヤ:うちはまだ3才なのでよく分からないですが、小学校は近くの私立のモンテッソーリ系のところを考えています。本当は私の仕事がなければ海外に住むのもいいなあとは思っていますが、なかなか小学校の段階では踏み切れないかな、というところです。
野本:モンテッソーリは進歩的教育なんですよね。うちも小学校がモンテッソーリだったらよかったのかなとも思います。でも、子どもによると思うんです。宿題がたくさんあって、先生にあれしなさいと言われてもそんなに嫌じゃない子もいるんですよね。
サヤ:そうですね。従来型の教育もあって、自分で選べたらベストですよね。ただ、子どもを型にはめるのは先生も楽ですが「子どもの可能性を伸ばす」という意味では従来型教育だと提供できる環境があまりよくないのかなと感じます。
野本:マレーシアの、特に日本人が行く学校で先生たちにヒアリングすると、親から「もっとしつけをちゃんとしてほしい」というような声もあって、先生たちも「本当は子どもの自主性を伸ばしたい」けれど宿題を出さないと不安になる親もいるみたいです。なので、これは社会の問題ではないかと思うんです。
ー 自分が受けた教育ではない教育を選択したときに、力がついているのかなど不安になりますよね
野本:そうなんです。PISAランキングの呪縛のようなものが親にあって、きっと私の中にもあって。「このままで大丈夫?」「このような学習でこの先、この子は生きていけるだろうか?」と思う気持ちはわかります。
|ホームスクールという選択
ー 子どもに合った教育を模索する上で「ホームスクール」という選択肢について考えてみたいと思います。マレーシアのホームスクールはどのようなシステムなのでしょうか。
野本:一般的な話でいうと学校は完璧ではないんです。マレーシアのホームスクールは保護者が作ったものもあるみたいです。小さなところだと、ビルの中にもホームスクールがあります。法律でホームスクーラーの権利は認められているので、それでもいいんですよね。他には、インターをつくりたいけどまだ規模が小さくて国が認めるインターに合致しないのでホームスクールという形式で教育している学校もあります。
もう一つおもしろいのは、マレーシアで主流の「イギリス式」と「マレーシア式」は基本的には試験に合格すればOK。「学校に行くコスト勿体無いよね」というように、特にコスト面を考慮して、試験勉強に特化したホームスクールを選択している人もいます。ホームスクールと一言で言っても本当に多様です。
ー 学ぶ科目もスクールによって様々という感じでしょうか。
野本:はい、これは公立学校でもそうです。学校によって教えている科目が違います。「この学校では日本語と韓国語は選択科目」「この学校はアラビア語が科目としてある」など様々です。
イギリス式の学校だと科目数が60科目以上あるので、全部学ぶのは不可能なんです。この学校ではビジネスと会計が学べて、こちらの学校では歴史が学べるというような感じで、子どもが学びたいものから学校を選択します。学校説明会で各学校が教えている科目を教えてくれるので、それをもとに学校選びを行います。
ー そういった選び方ができたらとてもいいなと思います。
野本:そうですね。でもこれも結局のところ「このままではダメだ」と思う人が多く、保護者や子どもの「NO」の結果なんです。あらゆるインターやホームスクールなど選択肢の多い現状をつくっている根本は親の不満だと思います。
|私たちにできることを考える
ユミ:マレーシアはとても魅力的ですが、現状今は日本で子育てをしていく中で、できることをするしかないんだと思うのですが、何から始めたらよいか。みなさんはどうしてますか?
野本:私の考えでは、とりあえず近くの学校に入学したあと、子どもを観察して「この子はどうなのかな〜」と見てみて、子どもが楽しそうだったらいいんじゃないかなと思います。
このプログラムでも「まずは子どもを観察する」とあってすごくいいなと思いました。
今はコンテンツが溢れているので、どんな環境でもインターネットさえあれば学ぶ子は自分で学んでいくものだと思います。
ミチコ:私は今子どもが小学校二年生で、この4月から「学校に行きたくない」と言って、先生と色々と話して、今は午前中で帰ったり、週1〜2日休んだりしています。
先日、IBのインターナショナルスクールに見学に行きました。結構小さいスクールで、家からかろうじて通えるかなということで見学に行ったのですが、来年度は入学できない程希望者が多いみたいです。その次の年度もどうかわかりませんという感じでした。でも、行ってみて日本の感覚と全然違うということが肌で分かりました。子どもも一緒に連れて行ったのですが「全然違うね」と言っていました。自由さというか流れてる空気が違うなと実際に行ってみたことで知ることができました。
他にも自宅近くのフリースクールも見学したんです。IBに見学に行ったことで自分の行動範囲が広がったというか、頭の枠がとれたというか、ちょっと動いてみる、一回行ってみるというのもいいかなと思うようになりました。もう少し距離を広げて何件か他のフリースクールを見学する予定です。
野本:お母さんが色んなところを見てみると少し楽になりますよね。「あ、こんなとこもあっていいんだ」というだけで、今行ってる学校で子どもがもしいじめられても大丈夫だなとか、そういう感覚を持つことが重要かなと思います。
《メンバーの声をご紹介》
直接いろいろお話できて、すごく気持ちが楽になりました。他のお母さん方とお話もできて「自分だけじゃないんだ」と感じられたのはすごくよかったです。
お話を聞いて、一番大事だなと思ったところが「どの選択をしても勝ってもないし負けてもない」という精神を全員共通で持ってること。どれを選んでも、恐くない。認められるし、全部OKですよね。その精神を少しでも自分の子育ての意識の中にいれておけば惑わされずにすむかなと思いました。
とても学びの多いお話ありがとうございました。情報が増えてくると、すごく忘れがちな心理的な安全性という気持ちの部分を忘れないようにして学校を選ばないとなと思いました。条件を比べてどっちにいこう、というよりもそこが一番大切だよなと思い出しました。
初めてお顔を拝見してとてもドキドキしました。声を聴くと「あーVoicyと一緒!」と不思議な感じでした!
野本さんにIBのお話を聞くまで、そんな魅力的な教育があるのを知りませんでした。聞いたことはありましたが、「なんか外国の大学にも入れる資格がもらえる学校?」のようなくらいにしか考えていませんでした。
日本の既存の教育がどんどん「自分で考えること」から遠ざかっているようで不安ではありますが、日本にいても「自分で考えて自分の幸せをつくっていく」ことができる人が増えてほしいなと思いますし、そのためにできることをしていきたいと思います。
いろんな生き方を知るだけで気持ちが楽になる、子育てが楽になるな、と感じました。
海外への教育移住は現実的でない我が家ですが、その間も子どもは育っていきます。少しでも多様な選択肢や考え方を知り、自分の子育てに取り入れていきたいと思います。まずはいろんな場所を知ること。学校もそうですが、幅広い選択肢の中から子どもにとって良い環境を選んでいく柔軟さを持ちたいと思います。
「マレーシアの環境はとても生きやすそう!私には合ってるかも」と思いました。多様性を認めてくれる社会がこれからの日本にもとっても必要だと思いますが、待つだけではなく、今からでも子どもたちのために自分が出来る事を考えて行動に移したいです。お話を聞かせていただくことが出来て、本当にそれだけでも大きな前進だと思います!ありがとうございました。
今回の座談会は〈著者と考える「教育を選ぶ時代」の歩き方〉をテーマに思考し合う時間となりました。まずは私たちができることを少しずつアクションしていき、たくさんの選択肢があることを知ることが大切なのかもしれません。
海外の教育を知り、自分たちの日常生活へ反映していく。そんな試行錯誤を繰り返しながら私たちの子育てや教育がより豊かなものとなるよう、コミュニティ内での深い思考と対話、小さなアクションは始まったばかりです。
おうちSTEAMプログラムでは視野を広げる・再発見するための座談会を開催。お子さんとのプロジェクトをつくり、遊びと学びを繋いでいきます。
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