ワークとおしゃべり会を軸に「遊びと学び」をつなぐ独自の体験をつくる【おうちSTEAMプログラム2022】を開催しました。ワークシートの内容も更にパワーアップ。プログラムでは、ゲストを交えた座談会やメンバー同士のおしゃべりで、それぞれの子育て観を見つけました。
観察に基づくお子さんの体験づくり、10週間のプロセスをシェアし合ったプログラム最終日のレポートです。
前編は2〜3歳のお子さんを育てるメンバーの「暮らしでのSTEAM種まき」「子どもの観察」等、10週間を通した気づきをシェアする様子をお届けします。
|「これぞSTEAM!」というよくある体験パターンに引っ張られずに、娘の行動や自分の考えを深く掘り下げていくと、違う視点があった。(のあ/3歳)
最近、娘の芸術が大爆発するようになってるんです。
スーパーに行っては段ボールをもらってクレヨンで描いたり、色にもすごく彼女のこだわりがあって「この色はすき」「この色はきらい」とはっきりしていて、洋服選びにもこだわりが見えるので『色』をテーマした体験を考えました。
『虹をかこう!』という体験です。
赤・青・黄の三色を使用して、混色やグラデーションを楽しめるようにしました。
絵本が好きなので、事前に予備知識が得られるような絵本を置いておきました。
(出典:岩崎書店「えのぐあそび」)
(出典:佼成出版社「なにをたべてきたの?」)
本人はこれまで行ってきた自由なお絵描きの中で、「青と黄色で緑になる」ということを知っていたようですが、他の色については初めて発見したようでした。
何色になるかな?と一緒に発見していくのも楽しい時間でした。
青と赤の混色では、赤を伸ばした上に青で描いてみました。本人は、青が好きで赤が嫌いらしく、青を濃く塗ってしまいうまく混ざらず。
「もう少し薄ーく優しく塗ってみたら混ざるんじゃないかな?」とアドバイスすると、「あっ!紫だ!」と目をキラキラ。「ここは青紫で、ここは赤紫だよ!」と教えてくれました。
完成した作品がこちら
このプログラムに参加した当初は全く違う体験を行おうと考えていたのですが、ワークシートでの深堀や、雑談会での意見交換の中で改めて考えてみたところ、「娘の興味はもっと別のところにあるのかも」という気づきがあったのがよかったです。
子どもの行動を表面的にみて、「きっとこれすきなんだな」「こうなんだろうな」と推測するだけでなく、立ち止まって掘り下げて真意を考えてみる時間を惜しまないようになりましたし、また、そんな時間の必要性も感じています。
ついつい表面だけをみて「これだったらこれをやらせてみたい」と少し強引にからめがちだったのですが、もっと小さいステップで、娘が本当に興味のあることを見逃さず、そちらに寄り添った体験ができるようになったかなと思っています。
親の考える「これぞSTEAM!」というよくあるパターンに引っ張られがちだったので、SNS等の情報を参考にしつつも、本質を見失わずに娘と向き合っていきたいです。
|「自分が子どもの頃こうだったのかな」と記憶を辿ったり、自分が子どものときに知らなかったことを知れる楽しさを発見。(かよ/2歳)
私はテーマを『アイスクリームづくり』にしました。
最近娘が、家に置いてあるおもちゃなどでお店屋さんごっこをしているので、そこから発展できたらと思ったのがきっかけです。
今までも、簡単なものは工作してお店屋さんごっこをしたことがあるんです。
例えば折り紙やティッシュでお寿司をつくったり、娘とその場でできそうなことはやったことがありますが、元々私が「ものをつくる」ことがあまり好きではなく「買った方が早いな」と思ってしまうタイプなんです。
しかし、今回娘と一緒に何かを作ってみることで物に愛着が湧いたらいいなと思って、手作りすることを取り入れてみました。
元々インスタグラムで作り方を保存をしていて「気になるものはありつつも作れず」ということが多かったんです。今回のプログラムで実際に体験として取り組めたので良かったです。
作ってみると紙粘土が思いのほか重くて・・・マグネットが効力発揮せず(笑)
今まで娘の様子を見ていると「飽き性なのかな?」と思うことがありましたが、今回長い時間遊んでいたのが新しい発見でした。ハマるものがあれば長い時間遊ぶのだなと感じました。
それと、私の感覚では娘は「いちご」が好きなので、ピンク色で「いちごミルクアイス」を作ったつもりだったのですが、本人は「もも」と言っていたのが新鮮でした。娘自身の想像力を大事にしたいなと感じました。
もう少し年齢があがったら、みなさんのように方向性を娘に任せてやっていけたらいいなと思いました。
ワークシートでは「あなたが子どもだったら?」の質問が印象的でした。
例えば「水族館に行く」「アイスクリームを作る」ということでも、子どもがいると「自分の人生2回目」という感じになりますよね。
「自分が子どもの頃こうだったのかな」と記憶を辿ったり、自分が子どものときに知らなかったことを知れる楽しさをすごく感じています。
STEAM教育は私が幼い頃には親も知らなかっただろうし、今の子どもたちは色んな教育法やアイデアの中で育ってますよね。
子どもたちにとって良いものを親である私たちが選んだり、子どもたちもこれから色んなものに出会っていくと思うと、今回の10週間はとても学びになりました。
あまり向き合う時間をとれなかったのが反省でもありますが、プログラムを通じて「子育てをより深く考えて、実際に子どもと楽しんでいる」という実感を得ることができました。
みなさんと一緒に子育てや教育について話をしたり聞いたりというのがとても楽しかったですし、娘は今でもアイスクリームを気に入って遊んでくれているので、テーマ選びは正解だったなと思います。
|大人の想像以上に、子どもは知を蓄積しているし、自らの表現を提案できる。(おぐら/2歳・0歳)
私は2歳と0歳の息子を育てていますが、今は0歳の次男に時間をとられていて、長男にかまう余裕がないので、長男とじっくり何か体験をしたいと思っていました。
長男は2歳半を過ぎたあたりから恐竜が好きなので、テーマを「恐竜ハウスをつくろう!」にしました。
恐竜のフィギュアなどは持っていますが、住んでいる場所について詳しく話したことなかったので、やってみたいなと思ったのと、最近次男がずり這いをはじめて、お兄ちゃんがさわっているものに突進していくことが増えたので、長男が次男に邪魔されずに遊べる場所をつくれたらと考えてみました。
恐竜図鑑を使って「恐竜たちはどこに住んでたのかな?」という話をしたあと、海や木を折り紙を使って作りました。
テープを貼るのはサポートしましたが、折り紙を切ったり、色を決めたりは本人に任せました。「海は水色がいい」と言ったり、木の高さについても「高い木はここ」「低い木はここ」と、本人がこだわって作っていました。海のシールで魚やカニを貼ってみたりして楽しみました。
完成した恐竜ハウスは割と高さがあるので、次男からさわられずに楽しそうに遊んでいました。一通り完成した後も、自分で川や空を作っていました。
空は自ら水色・群青色・黒色にして「昼と夜をわけたい」と言い始めたことに驚きました。他にも「何が必要かな?」と聞いてみると「月、星、太陽」と言って折り紙で表現しました。
「昼と夜をつくりたい」という発想は私にはなかったので新しい発見になりました。
体験の内容はとてもシンプルなものだったのですが、すごく楽しかったみたいです。
久しぶりに1時間ゆっくり遊ぶことができました。次男も近くをウロウロして機嫌が良く、長男と一緒にじっくり取り組めました。
当初、私は「海と陸を作るだけで十分かな」と想像していました。本人が「空もつくりたい」「川もつくりたい」と提案してきたことに驚き、自然の世界を知っているのだなと感動しました。
絵本が大好きなので、絵本から空や海を知っているとは思いましたが、他にも月や太陽、昼と夜など、彼のこれまでの蓄積を感じました。それをうまく引き出すことができ、発展させていけたのがよかったです。
正直、ふたり育児でバランスがとれなくて、今も試行錯誤中なんです。
この2年間長男のみに全てを費やしていたので、それが半分になってしまって申し訳ないと思っていましたが、ワークを通じて長男と次男、それぞれ向き合う時間が少しでも持てたのがよかったです。
ワークシートをしていてハッとしました。
子どもができると子ども軸になってしまって「子どもの人生を豊かにする」ことは一生懸命考えていました。しかし、自分のことは忘れていたんです。自分も大切にしながら子育てするのも大事だなと気づかされた10週間でした。
今後は、恐竜フィギュアを旅行先に持っていったりして外でも遊んでみたいですし、「海の生きもの」と「恐竜」など、好きなもの同士をくっつけて更に楽しみを見つけていきたいです。
ー後編は、年中さんや小学生など、年齢が少し上のお子さんとの10週間をご紹介。年齢によって悩みや取り組み内容も違いますが、共通のワークとおしゃべり会で「自分らしい子育て観」を発見していく10週間でした。
>後編:ワークとおしゃべり、遊びをつくる10週。自分らしい子育て観を見つけた「おうちSTEAM2022」最終日レポ